定期コラム
【コラム26】クレジットカードの思わぬ落とし穴
使い方によってはお得なクレジットカードが悪魔変身!
皆さんはクレジットカードを利用していますか?
最近では、家電量販店や百貨店、スーパーなどでカードを使って買物をするとポイントが貯まることもあり、キャッシング目的でなくとも、1枚くらいはクレジットカードを持っているのではないでしょうか。また、買物の際に店頭などで、無料で簡単にクレジット機能が付いたカードが作れるという謳い文句で勧誘もあり、「それならば・・・」と作る方も多いようです。
今回はクレジットカードの危険性についてご説明していきます。多重債務の相談で当事務所に来られる方の中には、クレジットカードで返済に困るほどの借金を作ってしまったという方が少なくありません。クレジットカードの場合、1万、2万円と手軽にキャッシングできるため、ついつい気がついてみたら何十万円も借りていた・・・ということになりかねないのです。
クレジットカードは、買い物などの利用に応じてポイントが付与されたり、マイルが貯まったり、割引特典があったりと、実にお得感が高く、まとまったお金を持ち歩くこともないためとても便利に使えるカードです。しかし、利用の仕方を間違えると、じわじわと借金苦に陥ってしまう可能性があります。
何故かというと、クレジットカードを利用する際の返済方法としてよく使われる「リボ払い」が、その要因のひとつとしてあります。
クレジットカードを使い分割払いで買物をした場合、毎月元金の返済にプラスして「手数料」を払うことになります。手数料は実質、利息と同じですが、あくまでも買物の代金を分割したことへの手数料ですので、利息制限法ではなく割賦販売法が適用されます。ですので、場合によっては高額の手数料を払っていることもあります。また、リボ払いにも色々な返済方法があり、支払い総額がとんでもない金額になってしまっていることがあるのです。
色々あるクレジットカードの支払い方法
クレジットカードには、以下のような返済方法があります。
- 一括払い・・・一回で支払うため、手数料がかからない。
- 分割払い・・・返済回数を何カ月かに分けて支払う。2回までは手数料が発生しない場合が多い。
- リボルビング払い・・・毎月一定の金額または一定の割合の金額を支払う方法の「リボルビング払い(リボ払い)」は返済方法によって手数料が異なる。
ここで、気をつけなければいけないのが返済方法の選択です。
リボ払いの種類は、大きく分けて「定額方式」「定率方式」「残高スライド方式」があります。また、それぞれに「元利定額」「元金定額」と計算式が異なります。
それぞれの違いは以下の通りです。わかりやすいように、クレジットカードのリボ払いで5万円の買物をした際の返済額を記しておきます。例は、カード利用額5万円、手数料15%、51千円のリボ払いとして計算してあります。( )は利用残高です。返済日や借入日によっては実際の返済額が変わりますので、あくまでも目安としてください。
【定額方式】
利用残額にかかわらず、前もって決めた一定額を毎月返済する方法です。住宅ローンの「元金均等返済」「元利均等返済」もこれと同じです。
●元利定額リボルビング方式
毎月決まった金額を支払っていきます。返済額には利息も含まれていますので、利息を差し引いた額が元金の返済に充てられます。支払う額は毎月同じでも、元金は決まった額が返済されるわけではありません。
- 1回目の返済額:元金4,384円+手数料616円=5,000円 (45,616円)
- 2回目の返済額:元金4,438円+手数料562円=5,000円 (41,178円)
- 3回目の返済額:元金4,493円+手数料507円=5,000円 (36,685円)
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- 10回目の返済額:元金4,895円+手数料105円=5,000円 (3,645円)
●元金定額リボルビング方式
前もって決めた返済額+利息を毎月返済して行く方式です。毎月支払う一定額が元金の返済に充てられ、それにプラスして利息を支払うため、元利定額リボルビングと比べると早く支払いが終わります。ただし、多重債務に苦しんでいる方にとっては、毎月の返済額が元利定額よりも多くなるため、この方式では返済が厳しくなるでしょう。
- 1回目の返済額:元金5,000円+手数料616円=5,616円 (45,000円)
- 2回目の返済額:元金5,000円+手数料554円=5,554円 (40,000円)
- 3回目の返済額:元金5,000円+手数料493円=5,493円 (35,000円)
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- 10回目の返済額:元金5,000円+手数料61円=5,061円 (0円)
【定率方式】
この方式は、「利用残額+手数料」に対して返済率を定め返済額を決めます。返済額は毎月減っていきますが、その分、元金が減る金額も少ないため、定額方式に比べて返済が長期になり、返済総額も増えてしまいます。
●元利定率リボルビング方式
毎月決められた日に、その時点の利用残高から定率をかけて算出した額が、その月の返済額となります。返済額に利息が含まれるため、元金の返済額は元金定率に比べて少なくなります。
- 1回目の返済額:元金4,384円+手数料616円=5,000円 (45,616円)
- 2回目の返済額:元金3,999円+手数料562円=4,561円 (41,617円)
- 3回目の返済額:元金3,648円+手数料513円=4,161円 (37,969円)
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- 10回目の返済額:元金1,920円+手数料269円=2,189円 (19,975円)
●元金定率リボルビング方式
利用額から利息を定め、その利息と「利用残高」に定率をかけた金額を合わせたものを支払う方式。
- 1回目の返済額:元金5,000円+手数料616円=5,616円 (45,000円)
- 2回目の返済額:元金4,500円+手数料554円=5,054円 (40,500円)
- 3回目の返済額:元金4,050円+手数料499円=4,549円 (36,450円)
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- 10回目の返済額:元金1,937円+手数料238円=2,175円 (17,436円)
【残高スライド方式】
毎月の利用残高に応じて、返済定額や定率を変更(スライド)することができる方式で、「元利定額」「元金定額」「元利定率」の3種類があります。
たとえば、利用総額が30~50万円だと返済額は2万円となり、残高が20万円になると1万円、残高10万円だと51千円というように、利用残高に応じて返済額も変わってきます。
- 残高スライド元利定額リボルビング方式・・・利用残高により利息を含んだ定額がスライドする方式で、定額から利息を引いた分が返済額となります。
- 残高スライド元金定額リボルビング方式・・・利息を含まない定額がスライドする方式で、毎月支払う一定額に利息分を足した金額がその月の支払い額となります。
- 残高スライド元利定率リボルビング方式・・・利用残高に応じて定率が変わる方式で、消費者金融からの借入などで多く採用されているのもこの方式です。
クレジットカードの甘い罠? リボ払いの落とし穴
50万円の買い物を金利15%で月々1万円の元利定額リボルビング方式で支払っていくとします。すると、初めの数年は毎月1万円の元金+手数料を支払っていくことになります。全て返済するまでに4年と1ヶ月かかり、支払い総額は約65万8千円、手数料は約15万8千円にもなります。
リボ払いが恐ろしいのは、総額がいくらなのかよりも月々いくら払えばよいのかに目がいきやすいからです。カードを使った買物も「借金」だということを忘れてはなりません。リボ払いだとついつい、その感覚が麻痺してしやすいのです。
ショッピングの場合、リボ払いの分割手数料は利息制限法が適用されないため、30%以上の「手数料」と称した利息をとっている業者もいます。クレジットカードは便利ですが、手数料が高いということを理解し、できれば手数料のかからない1回払いやボーナス払いなどを利用するようにしましょう。リボ払いにしている人は明細を一度確認してみてください。
また、低金利であるリボ払いに関しても過払い金が発生していることがあります。支払い期間が長い、利息や分割手数料が利息制限法を超えているという場合は、一度弁護士や司法書士などの専門家に相談してみましょう。