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【コラム25】複利の恐ろしさを知りましょう!

借金の金利が複利で計算されていたとしたら?!

今回は久し振りに借金の恐ろしさに関するコラムをお届けします。 借金を抱え、債務整理を検討する皆さんは、借り入れた際の金利がどれくらいかというのはご存知のはずだと思います。貸金業者がお金を貸すにあたって、金利の上限は出資法や利息制限法によって定められています。しかし、借金の金利にも複利と単利があるのを知っている方は案外少ないのです。

複利という言葉を聞くと、お金を増やす際に有利だというイメージがありますが、もしも借金の金利が複利だったら?と想像してみてください。その恐ろしさは安易に想像がつくのではないでしょうか?

では、複利についてご説明する前に、以前のコラムでもお話しした利息制限法と出資法について簡単に復習をしておきましょう。

【利息制限法】

  • 10万円未満・・・年20%
  • 10万円以上100万円未満・・・年18%
  • 100万円以上・・・年15%

以前は、ほとんどの貸金業者がこの金利の上限を超えて出資していました。利息制限法は違反をしていても罰則規定がなかったからです。しかし、利息制限法を超えた高金利で貸し付けをしていた場合、借りていたお金は無効になります。

ですので、払い過ぎていた利息は元本の返済に充てることができます。また、貸金業者に対して払わなくてよかったお金は、「過払い金返還請求(正式名称:不当利益返還請求)」をして返してもらうことができます。

出資法は、上限金利20%を超えて貸付をした場合、貸金業の登録抹消や業務停止、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金などが科せられます。

100万円の借金が10年で600万円に!

上記のようにお金を借りる際には、利息制限法と出資法という2つの法律で決められている上限金利に基づいた金利を支払うことになるわけです。しかし、その利息の付き方には複利と単利という2種類があり、もしもあなたが借りたお金に複利で金利がついていたとしたら、恐ろしいことになりかねませんよというお話です。

では、まず単利と複利の違いについてご説明します。 単利は、元本だけに利息がつく計算方式をいい、複利は単利とは異なり、借りたお金(元金)についた利息もまた、次の支払い時の利息の対象となります。

つまり、「元本+利息」に対しても利息がつくという計算方式で、この仕組みから、複利は『重利』とも呼ばれています。複利では雪だるま式に借金が増えていくので大変危険なものだとされており、貸金業法で禁止されています。

●複利と単利の計算例

それでは、雪だるま式に増えていく複利がどれほど恐ろしいのか、100万円を利率20%で借りた場合、単利と複利では10年後に支払う総額にどれほどの差が出るかを計算してみましょう。

【単利20%の場合】

1年間の利息:100万円×20%(0.2)=20万円+元金100万円

単利20%ならば1年間に支払う利息は20万円となり、総額は120万円です。では、2年目はどうでしょう。単利の場合、元金にしか利息はつきませんので、2年目も100万円に対する利息は20万円と変わりません。

  • 1年目・・・120万円
  • 2年目・・・140万円
  • 3年目・・・160万円

実際に借金をした場合、毎月返済していけば元金が減っていきますので、当然2年目の支払額は減っています。しかし、ここでは単純に100万円を10年間借りた場合ということで計算しています。こうして、単利で計算すると毎年20万円ずつ利息がつき、10年間で支払う総額は300万円となります。では、次に複利で計算をしてみましょう。

【複利20%の場合】

1年間の利息:100×20%(0.2)=20万円+元金100万円

複利計算の場合、1年目はご覧のように単利計算と同じ額になります。しかし、複利は利息にも金利がかかるため、2年目は「元金+前年の利息」に20%が掛ります。

(元金100万円+1年目の利息20万円)×利率20%(0.2)=24万円

2年目の利息が24万円となり、総額は144万円です。

  • 1年目・・・120万円
  • 2年目・・・144万円
  • 3年目・・・172万8千円

こうしてみると、複利が恐ろしいと言っても2年目で年間4万円の違いでしかありません。しかし、3年目になると単利なら総額は160万円ですが、複利の場合172万8千円となり、約13万円の差が出てきます。

同じように複利計算をしていくと、10年後の支払い総額は『619万1736円』となり、単利計算とは300万円以上の差が出てしまいます。

100万円を10年間複利で借りれば、600万円も返済することになるのですから、複利法によって借金をすると毎年毎年、利息が膨れ上がってしまう複利の恐ろしさが目に見えたかと思います。

元金が2倍になる72の法則

突然ですが、「72の法則」というのをご存知でしょうか? 通常、資産運用や投資などの複利の時に使われる法則で、「お金を2倍にする法則」と言われ、元金が2倍になるまでにどのくらいの年数がかかるかを割り出せる計算式です。この計算式は複利計算ですので、複利法によって借り入れた借金がどのくらいで倍になるのかがわかってしまう計算式なのです。

72 ÷ 金利(%)= 年数

たとえば、金利20%で借り入れた場合、この計算式に当てはめてみましょう。

72 ÷ 20% = 3.6年

3年半で借りた借金が倍になってしまうわけです。

本来、貸金業者は出資法や利息制限法を基に債務者である皆さんにお金を貸しています。複利計算では違反となるため、通常なら単利で営業しています。しかし、ヤミ金や無許可で営む貸金業者は、違法とわかって複利計算で貸し付けしているところもありますので注意が必要です。

安くなると勧められる“借換”にはご用心!

最後に、複利で借りていなくても、複利返済になってしまうケースをご紹介しておきます。 「借り換え」という言葉はご存知でしょうか?

住宅ローンの借り換えなどで耳にすることもある言葉ですが、現在組んでいる住宅ローンを一括で返済し、新たに住宅ローンを組み直すことを住宅ローンの借り換えと言います。しかし、金利差やローン残高、返済期間によっては、借り換えにかかる諸経費のほうが多くなってしまい、借り換えた意味がなかった・・・という場合もあります。

多重債務の場合、こうした借り換えを「一本化」「おまとめローン」などと称することがあります。現在の金利よりも低い金利に借り換えをする、しかも数社からの借金を一本化することで、本来ならメリットの多い有難い方法です。

しかし、「借り換えすれば安くなりますよ」「一本化したほうがお得ですよ」と勧める業者の中には、こうした方法を悪用する悪徳業者も多いため、安易に借り換えをしないよう注意しなければなりません。

こうした悪徳業者は、借り換えと称して借金の元金と利息に相当するお金を他の業者から借りさせて返済させようとします。しかし、これでは事実上、複利返済をしているのと同じことになってしまいます。

借金をしている場合、これから借りようとしている場合も含め、高い金利の貸金業者から借りないことはもちろんですが、複利法を用いている業者は避けるようにしてください。

万が一、複利法で計算されている貸金業者から借りている場合、なるべく早急に返済するよう心がけましょう。どうしても返済計画に行き詰ってしまったり、思うように返済が出来なかったりしている場合、ひとりで悩んでいないで無料相談などを利用し、弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。