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定期コラム

【コラム24】年金保険料を免除してもらうには

国民年金保険料は免除・減免できる

前回のコラムでは、国民年金保険料を滞納しているとどうなるのか?ということで、強制徴収を中心にご説明しました。毎月の借金返済で手いっぱいな方にとっては、年金は払いたくても払えないのが実情だと思います。

そこで今回は、年金保険料を支払えない場合の“免除”“減免”という制度についてご説明します。前回もお話したように、支払いが滞り督促状が来ているのに払わなければ、年14.6%の利率で延滞金も加算されてしまいますので、現在、何カ月か遅れているという方は参考にしてみてください。

年金保険料を滞納し払わずにいれば、財産差押えで強制徴収が執行されてしまいます。しかし、できるだけこのような事態は避けたいと誰もが思うでしょう。

前回の復習にもなりますが、強制徴収の対象となるのは未納期間が13カ月以上ある場合、本人の前年度の所得が200万円以上ある場合は支払う能力があるとみなされ、財産を差し押さえられる可能性があります。

「自分くらい納めなくてもいいや」と思う方もいるかもしれませんが、本人が年金を納めなければ、配偶者や世帯主も「連帯納付義務者」として納付義務を負うことになりますので、自分さえ逃げ切れば何とかなるだろうという考え方は通用しません。

法定免除と申請免除

では、本当に支払えない人はどうすればいいのでしょう。

そこで、多重債務を抱えていたり失業・退職により年金を支払う目途が立たない場合、届出や申請をすることで保険料納付が免除される制度がありますので、これらを利用しましょう。免除には、法定免除と申請免除の2種類があります。

【法定免除】

障害基礎年金や生活保護を受給している場合は、法定免除全額免除されます。法定免除は、以下のいずれかに該当すれば、本人が届出をすることで免除されます。

●対象者

  • 障害基礎年金を受給されている人
  • 生活保護を受けている人
  • 厚生労働省令で定める施設に入所している人
    (ハンセン病療養所、国立脊髄療養所、その他)

しかし、このページをご覧になっているみなさんは、おそらく法定免除の対象外の方だと思います。では、その場合どうなるかというと、もう1つの「申請免除」をすることになります。

【申請免除】

経済的な理由などにより保険料の支払いが困難な場合、以下のいずれかに該当し申請・承認されることで、定額保険料の全額またはその一部が免除されます。

●対象者

  • 前年度の所得が政令で定める額以下のとき
  • 被保険者または被保険者が属する他の世帯人が、生活保護法による生活扶助以外の扶助を受けているとき
  • 地方税法に定める障害者または寡婦であり、前年度の所得が125万円以下であるとき
  • 保険料を納付するのが著しく困難である場合として、天災や失業・倒産等があるとき

尚、20歳を過ぎていても学校に在学中で保険料の納付が困難な場合は、承認基準に該当し申請・承認されれば、定額保険料の支払いが猶予されます(学生納付特例)。

また、学生ではなくとも30歳未満の「第1号被保険者」と呼ばれる、自営業者、フリーター、無職の人で、保険料の納付が困難な場合は、承認基準に該当し同じく申請・承認されることで、定額保険料の支払いが猶予されます(若年者納付猶予)。

債務整理をされる方の中には、失業や倒産などにより収入が無くなってしまう方も少なくありません。そうであれば、申請免除を受ける資格があるわけです。その場合、申請には「離職票」や「雇用保険受給資格者証」などが必要となります。

免除申請で10年まで追納可能に

免除を申請し承認されると、原則7月分から翌年6月分までの定額保険料が免除となります。免除の種類には、「全額免除」「4分の3免除」「2分の1免除」「4分の1免除」の4種類があり、免除の額は以下の通りです。

承認された場合の免除の種類(2011年度)
免除の種類 除承認後の保険料の納付額 免除額
全額免除 納付0円 全額(月額1万5020円)免除
4分の3免除 月額3760円納付
(4分の1納付)
月額1万1260円免除
半額免除 月額7510円納付(半額納付) 月額7510円免除
4分の1免除 月額1万1270円納付
(4分の3納付)
月額3750円免除

全額免除の申請をして承認され1年間納付しなかった場合、免除申請期間中は、全額納めた人の半分の額が老齢年金の受給額に換算されます。

通常、未納の場合は2年で消滅期間が適用されます。ですので、2年前の分までしか遡って納付することができませんが、免除の申請をした場合、免除期間は10年まで追納することができます。

尚、定額納付、免除、猶予、未納かにより、それぞれ将来の年金受取額へ影響します。

  • 全額免除・・・定額納付の2分の1の割合
  • 4分の3免除・・・定額納付の8分の5の割合
  • 半額免除・・・定額納付の4分の3の割合
  • 4分の1免除・・・定額納付の8分の7の割合

若年者納付猶予・学生納付特例の場合、全額免除となり保険料を納めなくとも納付済期間と同じ扱いにはなりますが、基礎年金額の計算はされません。

また、4分の3免除、半額免除および4分の1免除の一部免除の場合、免除にならなかった保険料の一部を納付することにより免除が承認されます。ですので、免除にならなかった残りの保険料を納付しないと免除は無効となってしまいます。せっかく申請して承認されたとしても、保険料の未納期間として扱われてしまいますので注意が必要です。

ちなみに、申請条件となる所得は以下の通りとなります。所得は1月から6月までは2年前の所得金額、7月から12月までは前年の所得金額で判断されます。

  • 「全額免除・若年者納付猶予制度」

    (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

    例・・・単身世帯の場合 57万円

  • 「4分の3免除」

    78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

  • 「半額免除・学生納付特例」

    118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

  • 「4分の1免除」

    158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

年金の加入は国民の義務と憲法でも決められています。年金に加入している限り、保険料は支払わなければなりません。年金未納者が増え続けていることで、2004年の年金法改正により、保険料滞納者への督促状の送付が再開され、強制徴収も強化されている現状です。催促状が来ていても知らないふりをしていればいいという考え方はもう通用しない時代なのです。

借金の返済が苦しく、国民年金保険料が支払えないと悩んでいる方は、年金事務所などへ相談されるか、免除申請の手続きなどを検討されてみてはいかがでしょうか。