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【コラム16】どのくらいの借金があれば自己破産できるのか

返せなければ自己破産”という安易な発想は危険!

前回のコラムでは、自己破産をしても税金や社会保険、年金などの支払いはなくらないという話をしました。今回は、どのくらいの借金があれば自己破産ができるかについて取り上げてみます。

なぜ、今回、このような話をするかといえば、債務整理、また自己破産について、安易に考えている方が少なくないからです。

ギャンブルや海外旅行、高額なブランド品などを購入するための借金もあれば、病気やケガ、急なリストラで収入がなくなり生活費として借金をする方もいます。事情は様々あるでしょう。しかし、もしもあなたがこんな風に考えているとしたら要注意です。

「お金がないからとりあえずサラ金で借りて、返せなくなれば自己破産すればいいんだ」

自己破産には、多額の借金でも帳消しにできるという大きなメリットがある反面、住宅や車などの財産を手放さなくてはなりませんし、官報、破産者名簿にも掲載されてしまいます。

また、住所の移転や旅行にも制限がつき、あなた宛の郵便物は破産管財人により管理されることとなります。もちろん、当然のことながらブラックリストにも登録されますので、一定期間クレジットカードなどは作れなくなります。

ですので、一概に金額は言えませんが、本来ならば何とか働いて返せる金額の借金にも係わらず、安易に自己破産をすればいいという考え方は、その後の人生に及ぼす影響を考えてみても、得策だとは言えないでしょう。

裁判所が「支払不能状態」と認めるための3要件

では、どのくらいの借金ならば自己破産するのに妥当だと言えるのでしょうか?

自己破産をするためには、「申立人(債務者)は支払不能の状態である」と裁判所が認めてくれなければなりません。そのためには、以下の3つの要件が必要です。

  1. 債務を返済する能力がないこと

    たとえば、現時点では返済の目処が立たなくとも、将来的に返済のための資金調達をする能力がある場合は、返済する能力がないとはみなされないことが多い。

  2. 返済期限が迫っていること

    当たり前のことですが、返済期限が迫っている、または猶予期限が付けられている借金のこと。

  3. 今後も継続して返済できないことが明らかであること

    一時的なお金の不足ではなく、今後、継続的に返済できない状態が明らかであること。

この3つの要件を見ただけでは、一概にいくらの借金なら自己破産すべきだと言い難いのはおわかりいただけると思います。

極端に言えば、病気がちで細々とアルバイトで月に5万円程の収入を得て、3万円のアパートで一人暮らしをしていたとすれば、たとえ10万円の借金でも返すのは困難でしょう。

ですので、収入だけでは一概にいくらの借金だから自己破産したほうがいいとは言い難いわけです。

自己破産のデメリットを忘れないこと

私たちのような法律の専門家は、借金地獄で苦しむ方を救いたいという気持ちで、毎回、債務整理の手続きを行っています。

その方、その方により、収入も環境もまったく異なりますので、4つある債務整理(任意整理、特定調停、個人再生、自己破産)の中で、どの方法が適しているかは、じっくりとお話を聞いてみなければわかりません。

自己破産は、借金地獄に苦しむ債務者にとって、借金がゼロになるという大きなメリットはありますが、以下のようなデメリットもあることを忘れないで欲しいのです。

自己破産のデメリット

  1. 必要最低限の生活費、財産以外のものを手放す
  2. 官報、破産者名簿に掲載される
  3. 住所の移転や旅行に制限が設けられる
  4. 免責を受けて7年間は再び自己破産はできない
  5. 職業や資格に制限が設けられる
  6. 郵便物は破産管財人により管理される
  7. ブラックリストに登録され、クレジットカードなどが一定期間作れない

あなたの未来を考えた時に、これらのデメリットがどのような影響を及ぼすかをよく考えてみる必要があります。その上で、自己破産をすることが、あなたにとって明るい未来に繋がるのであれば、手続きを進めるべきでしょう。

もちろん、ここまでの判断を、債務者本人がひとりでするには、「後悔先に立たず」となる可能性が無きにしも非ずです。また、手続きそのものも非常に煩わしいため、やはり弁護士や司法書士などの専門家にお願いしたほうがいいかもしれません。

いずれにせよ、まずは無料相談を利用し、自己破産すべきなのか? それとも、他の債務整理のほうが適しているか、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

ただ、このコラムで自己破産に適した金額をあえてお伝えするとすれば、その方の返済能力が自己破産に適しているかどうかを見極めるポイントになると言えるでしょう。場合によっては、他の債務整理でも十分に返済して行ける可能性もあります。

では、どのようにご自身の返済能力を判断すればいいのでしょうか。