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【コラム13】収入がなくとも、任意整理はできるのか?

「一定の収入」という条件の例外

借金の返済を続けていく途中で、リストラや病気などの理由により収入がなくなり、毎月の返済を続けていくことが困難になってしまう場合があります。その際、債務者であるみなさんは、債権者である貸金業者との話し合いにより、借金を減額することができる任意整理を検討されると思います。

任意整理についてはすでにご存知だと思いますが、債務整理のひとつで、裁判所を介せずに債権者である貸金業者との毎月の返済額の変更や、利息をカットするなどの和解交渉を行う方法です。

この任意整理には、手続きを行う際に必要な条件がいくつかあります。そのひとつが、「一定の収入があること」なのですが、収入がなければできないかといえば、例外もあります。今回はそのことについて詳しくお話しようと思います。

任意整理に必要な3つの条件

任意整理は借金を抱えて困っている方なら誰でもできるわけではなく、手続きを行うにはいつくかの条件があります。その条件のひとつが「一定の収入があること」です。

では、本題に入る前に、任意整理を行うための条件について確認しておきましょう。

任意整理は、借金の返済に困っている方にとって、とてもメリットの多い債務整理のひとつですが、利用するには下記の3つの条件をクリアしていなければなりません。

  1. 現在返済が困難か、将来的に返済できなくなる可能性がある 給与の減額や病気や事故による入院・治療費などの臨時出費が重なったりと、様々な環境の変化により現状の返済が困難であったり、今後の返済があきらかに困難だと予想される場合、任意整理をすることができます。
  2. 毎月返済を続けるための一定の収入がある 任意整理は、利息制限法に基づいて計算し直し債務額を確定します。そして、確定した額を3~5年を目安に返済していきますので、一定の収入があることが条件となります。
  3. 継続して返済を続ける意思がある 任意整理をすることで借金を減額することもできますが、同時に“返済”の義務も発生します。ですので、返済を続ける意思があることも条件のひとつとなります。

この3つの条件の中で、一見(1)と(2)は相反する条件のような印象を受けます。これは、例え収入が減ったり出費がかさんだりして返済が困難であったとしても、一定の収入があれば、任意整理を行い毎月の返済額を減額することで、返済をしていけるだろうという前提があるからです。

ですので、任意整理をしても毎月の返済が苦しいのであれば、同じ債務整理でも、個人再生や自己破産を選択せざるを得なくなります。

過払いが発生していれば収入がなくともOK!

では、いよいよ本題に入ります。収入がない場合の任意整理ついて、まずはその仕組みからご説明しておきます。

任意整理では、利息制限法に基づいて過去の返済利率を見直し、残っている借金の額を計算し直します。算出された借金の残額を、債務者であるみなさんの現在の収入から3~5年で毎月返済し続けることができる額に変更を行います。

ここまでは一般的な任意整理となりますので、例え減額されたとしても一定の収入がなければ、毎月の返済が困難であることは明らかです。

しかし、取引期間が長かったり、利息制限法の上限利率(15~20%)を大幅に超えた金利で借りていますと、返済し過ぎていた金利分(過払い金)が発生しているケースもあります。

この場合、過払い金分を元金に充てることで予想以上に借金の額が減り、場合によっては借金そのものが全て無くなることや過払い分が戻ってくることもあります。このような状況であれば、一定の収入が無くても任意整理が利用できるわけです。

逆に取引期間が短かったり、利率が利息制限法を大幅に超えていなかったり、銀行などのように利息制限法の範囲内で貸し付けを行っているところから借りていた場合、思った以上に債務の額が減らないこともあります。その場合には、一定の収入がないと任意整理は利用できないといえるでしょう。

年金受給者や生活保護を受けている場合

それでは、任意整理の条件とされている「一定の収入」と認められる範囲について、よくある質問をまとめましたのでご紹介しましょう。

*アルバイトの収入でも任意整理はできますか?

パートやアルバイトをされている方、年金受給者の方など、例えサラリーマンではなくとも、定期的に収入を得ているようでしたら任意整理を行うことが可能です。

*生活保護は一定の収入に入りますか?

生活保護を受給さている方が任意整理を行い、給付金を返済にあてるとことは理論的には可能です。しかし、役所の生活保護課職員の方が給付金を返済に充てることを認めるかどうか、貸金業者が生活保護を一定の収入とみなすかどうかというのは、対応が異なるようですので、一概には判断しがたくもあります。 もちろん、借金の返済費用も生活に必要なお金ということもできますし、給付金の使用について制限があるわけではありません。生活保護を受けながらギャンブルで借金を作ったというのならば論外でしょうが、生活のためにやむを得ない事情で借金をしたのであれば、借金の返済も生活費の一部とみなされる可能性は十分に考えられます。

*収入がなくても、家族から継続的な支援があれば、任意整理はできますか?

無職で収入がない場合には、「一定の収入がない」という理由で任意整理が認められないケースが多いのですが、ご家族や親類などから継続的な支援を受けられるなど、収入がなくても返済が可能な場合には任意整理を行うことができる場合もあります。

任意整理が成立しないケースもある

では、条件をクリアし一定収入も確保されていれば、必ず任意整理はできるのでしょうか? 元々の借金総額が多く、引き直し計算をして借金が減ったとしても、減額後の額が多い場合には、毎月の返済可能な範囲を超えてしまうことも考えられます。その場合には任意整理を選択することはできません。

任意整理だけでなく、自己破産以外の債務整理は、あくまでも減額して残った借金を返済していかなければなりません。

ですので、例え一定の収入があったとしても、任意整理後の返済のめどが立たないと債権者である貸金業者が判断すれば、任意整理が成立しないことがあります。その際は、自己破産など別の方法で、債務整理を行うことを検討しなければならないでしょう。

いずれにせよ、任意整理はご本人で手続きをすることも可能ですが、今回のように収入がないといったケースの場合、一度無料相談を利用されてみてはいかがでしょうか。

すでに毎月の返済も困難になっている方、貸金業者の執拗なまでの取り立てに苦しめられている方は、一刻も早く手を打つ必要があります。ひとりで悩んでいても何も解決しません。どうぞ勇気を出して一歩踏み出してみてください。