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【コラム7】家族に知られずに行うにはどの債務整理がよいのか

法律上は家族や職場に直接連絡がいくことはないが・・・

多重債務に陥り毎月の返済に行き詰ってしまった場合、借金を減額する手段として考えられるのが『債務整理』です。しかし、債務整理を行うことを家族に話せないため、債務整理ができないと思っている方も少なくありません。

基本的には、どの債務整理の方法を利用しても、法律上は保証人以外の家族や職場に直接連絡がいくことはありません。しかし、現実には絶対に家族に知られないようにできるという保障もありません。

ですので、家族に知られないよう考慮しながら債務整理を行うにしても、何らかの事情で知られてしまう場合があることも頭に入れておいたほうがいいでしょう。

それでは、家族に知られてしまう理由やどうしたら知られないようにできるかを交え、4つの債務整理についてご説明していきたいと思います。

自己破産は家族に知られる可能性が一番多い

自己破産とは、破産の免責決定を裁判所から受理された時点で、自分の財産を失う代わりに、すべての借金が免除される債務整理のことです。自己破産は、家族に知られてしまう要因が多いため、細かく説明したいと思います。

1.裁判所からの郵便物が自宅に届く

自己破産は裁判所を介して申し立てを行うため、自宅に裁判所からの郵便物が届いてしまうため、家族に知られてしまう可能性が高くなります。ただし、代理人として弁護士や司法書士などの専門家に手続きを依頼する場合は、郵便物を事務所宛てにしたり、郵便局留にしたりすることで自宅へ届かないようにできます。

2.官報に自己破産の情報が掲載される

破産宣告が確定すると自己破産の情報が官報に掲載されます。官報とは、政府が発行する機関誌です。置いている書店も限られており、発行部数も少ないため一般の人が見ることは少ないといえ、家族に知れる可能性がゼロではありません。また、官報に載ることでヤミ金などの貸金業者が破産の情報を知り、DMなどを自宅に送ってくることもあり、家族がDMを見る可能性は高くなります。

3.所有する財産を処分する

持ち家や車などの財産を所有している場合、破産手続きにより財産を処分しなければいけなくなる場合がありますので、家族に秘密で行うことは難しいと思われます。

4.家族が連帯保証人になっている

自己破産を申し立て、債務者であるみなさんが免責を受けたとします。しかし、保証人には免責の効力が及ばないため、債権者である貸金業者から保証人へ請求がいくことが考えられるため、ご家族が連帯保証人になっていれば連絡が行く可能性は高くなります。また、連帯保証人が親戚や知人の場合、そちらからご家族に連絡が行く可能性も否めません。

5.家族の書類を用意する

裁判所によっては、同居している家族の給与明細、源泉徴収票、年金受給証明書など、本人でないと用意できない書類を必要とする場合もあります。その他、預金通帳の写しや不動産登記簿謄本なども考えられ、嫌でもご家族に知らせないと手続きが進まないこともあります。

裁判所を介する個人再生も家族に知られる可能性が高い

個人再生は「民事再生」ともいい、住宅ローンを除いた借金を圧縮し、最低弁済額として大幅に減額させ、再生計画に沿って分割返済をしていく債務整理のことです。自己破産と同様に裁判所へ申し立てを行うため、以下のような状況から家族に知られる可能性があります。

  1. 裁判所からの郵便物が自宅に届く
  2. 破産宣告が確定すると自己破産の情報が官報に掲載される
  3. 申し立てに必要な書類を家族が用意しなければいけない場合がある
  4. 家族が連帯保証人の場合、債権者である貸金業者から一括請求がいく場合がある

この場合、(1)に対しては自宅以外の場所を連絡先にすることで、家族に知られる可能性を低くすることができます。

特定調停も裁判所を介するが官報には掲載されない

特定調停とは、利息制限法で定められている上限を超えた高金利で消費者金融から借りている場合、上限金利内(15~20%)に引き下げて再計算し、減額された元金を分割で支払っていく債務整理のことです。自己破産や個人再生と同様、裁判所に申し立てを行うことで、以下のような状況となり家族に知られることがあります。

  1. 裁判所からの郵便物が自宅に届く
  2. 申し立てに必要な書類を家族が用意しなければいけない場合がある
  3. 家族が連帯保証人の場合、債権者である貸金業者から一括請求がいく場合がある

この場合、(1)については自宅以外の場所を連絡先にすることで、家族に知られる可能性を低くすることができます。(3)について、特定調停は連帯保証人のついている借金以外を選択することが可能ですので、ご家族に知られたくない場合、ご家族が連帯保証人になっている借金は債務整理しないようにしましょう。また、特定調停の場合、裁判所を介しますが破産などの裁判事ではありませんので官報には掲載されません。

裁判所を介さない任意整理は一番家族に知られにくい

任意整理とは、利息制限法で定められている上限を超えた高金利で消費者金融から借りていた場合、上限金利内(15~20%)に引き下げて再計算し、返済し過ぎていた金利分(過払い金)を元金に充て、3年未満で分割返済していく債務整理のことです。

任意整理の場合、自己破産や民事再生、特定調停とは異なり、裁判所を介した手続きではありません。そのため、家族に知られる可能性があるのは、家族が連帯保証人となっている場合だけです。しかし、特定調停と同様、連帯保証人のついている借金以外を選択することが可能ですので、ご家族が連帯保証人になっている借金は債務整理しないようにしましょう。

思い切って家族に伝えるのも債務整理として有効な方法

こうして4つの債務整理を比較してみると、任意整理がもっとも家族に知られにくい方法といえます。ただし、絶対に知られないというわけではありません。

また、家族に知られないようにしたいという理由で債務整理の方法を選んでしまうと、返済に無理をしてしまい返済が滞ってしまうことにもなりかねません。そうなれば債務整理をした意味も薄れてしまいますので、思い切って家族に打ち明け協力をしてもらうというのも、一日も早く借金苦から解放されるための債務整理として有効な方法だといえます。

なお、自己破産、個人再生、特定調停ともに申し立てに必要な書類は、法で定められているものと裁判所が審理上必要とする関連書類とがあります。ご家族のどうような資料が必要になるかは裁判所により異なり、裁判官の指示によっても変わってきますので、事前に詳細を確認したほうがいいでしょう。