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【コラム3】過払い金はいつまで請求できるのか?

過払い金とは?

「過払い金返還請求」を行うことによって、返済したお金が返ってくる可能性があるのをご存知でしょうか。

現在、返済中の借金が支払い過ぎだとしたら―
既に完済した借金で、支払い過ぎていたお金があったとしたら―
誰もが取り戻したいと思うのは当然です。

消費者金融やクレジット会社などの貸金業者と呼ばれる債権者は、貸金業法に基づく利息として定められている「法定金利」について、「利息制限法」と「出資法」という二つの法律の矛盾点をついた契約をし、不当な利益を得ています。

利息制限法を守らない貸金業者との取引により、債務者であるみなさんは、本来支払わなくてもよい利息分のお金を払っている場合があり、これを『過払い金』と呼んでいます。
それでは、二つの法律の矛盾点やそれぞれの内容について詳しく説明していきましょう。

金利の上限を定めた利息制限法

そもそも、貸金業者がお金を貸す場合、金利は何%でもよいというのではなく、その上限金利が「貸金業法」という法律で定められています。貸金業者がお金を貸す場合、金利の上限は「利息制限法」「出資法」という二つの法律によって定められています。

利息制限法は、貸金業者の金利を制限する法律です。
債務者であるみなさんにお金を貸付ける際、その利息が法律で定められた利率を超える時は、その超過部分につき無効となります。 利息制限法では、貸金業者の貸付金利の上限を、以下のように定めています。

*10万円未満・・・年20%
*10万円以上100万円未満・・・年18%
*100万円以上・・・年15%

ほとんどの貸金業者が、利息制限法を違反して債務者であるみなさんに貸付を行っていますが、この利息制限法に違反をした場合、法定金利を超えた利息分については無効だとしているものの罰則規定はありません。

しかし、貸金業者が利息制限法を超えた高金利で貸し付けていた場合は無効であるため、それらの払い過ぎていた利息分を元本の返済に充てたり、貸金業者に対して払わなくてよかったお金を返してもらったりすることができ、その手続きを「過払い金返還請求(正式名称:不当利益返還請求)」といいます。

違反した際の罰則などを定めた出資法

出資法は、出資金の受入れ、預り金、金銭貸借の媒介手数料、金利などについて規制する法律です。

貸金業者が債務者であるみなさんに、上限を超えた金利で貸した場合に罰則の対照となる上限金利を年29.2%に設けている法律です。

上限を超えて、違反契約をした場合は貸金業の登録抹消や業務停止、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金などが科せられます。

ですから、貸金業者としては、利息制限法を越えた金利で貸付を行ったとしても、処罰されないため、出資法で定められた利率さえ守っていれば罰則から逃れられていたのです。

払い過ぎたお金 = グレーゾーン金利

このように、改正前の二つの法律の矛盾点をついた、利息制限法の上限金利以上、出資法の上限金利以下の金利のことを「グレーゾーン金利」と呼んでいます。消費者金融など多くの貸金業者は、このグレーゾーン金利の範囲内で貸付を行っていたわけです。

つまり、過払い金というのはこのグレーゾーン金利で払い続けた返済額に対し、利息制限法の利率で計算し直すと、借入をした元金+上限金利内の利息を超えて払い過ぎたお金ということになります。ですので、当然この払い過ぎた違法金利分のお金は過払い金として取り返す事ができるのです。

尚、過払い金請求をする方の多くは、この29.2%に近い金利で借りていた方が多いはずですが、法改正により平成22年6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられたことにより、グレーゾーン金利が撤廃されました。

過払い金はどんな時に発生するのか?

それでは、実際に過払い金がどのような時に発生するのでしょうか。実際に数値で表してみましょう。

【例】100万円を年利29%で借り、1年後に一括返済した場合。

実際に返済した額:100万円×1.29=129万円-法律の上限:100万円×1.15=115万円
=129万円 - 115万円
=14万円

過払い金が請求できる条件

次に、どのような場合に、過払い金返還請求が可能となるのかを説明していきます。

  • 借入をした際の金利や返済方法などによっても違いはありますが、おおよそ3年以上返済をしていて、年利20%を超える金利で借りた方が対象となります。
  • すでに借金を完済してしまっていても、過去10年以内に完済した契約であれば、過去に遡って引直し計算を行うことができますので、過払い金の請求をすることが可能です。
  • 返済の途中で金利が利息制限法以内に引き下げた場合でも、過去の超過利息分については引き直し計算を行うことができます。

過払い金の対象にならない場合。

以下のような場合は、残念ながら過払い金の対象にはなりません。

  • カードを使って買い物をした場合、ショッピングで使ったローンは割賦契約となるため、ショッピングローンは過払い金の対象にはなりません。
  • 金利の低い公的金融機関の融資や銀行の住宅ローンなどは対象にはなりません。
  • 完済から10年経過してしまうと時効が成立してしまうため、請求できなくなります。

「もうかなり昔に借入をしたことがある・・・」という方は、かなりの確率で過払い金が発生している可能性があります。ただし、10年を超えてしまったら請求はできなくなります。

すでに手元には契約書がなかったとしても、日記や家計簿に返済の記録が残してあるかもしれません。銀行から振り込んだのであれば、通帳に記帳されている可能性もあります。

自分はもしかしたら過払い金が発生しているかもしれないと思う場合は、まずは貸金業者に対して借入れ時の利息の金利がどのくらいなのかを確認するため、取引履歴開示請求を行ってみるとよいでしょう。

ただし、自分で直接開示を要求しても、なかなか速やかに応じてはくれないでしょう。また、自分で過払い金の請求を行う場合、引き直しの計算や金融業者との交渉など、時間的にも体力的にも、もちろん精神的にかなりの負担がかかります。

確実に過払い金を取り戻したいと思うのでしたら、弁護士や司法書士など法律の専門家に相談したほうが賢明ではないでしょうか。