借金の債務整理トップページ > 【コラム】総量規制の影響で(110506)

コラム

総量規制の影響で

貸金業法による総量規制が昨年6月に施行されて約一年が経とうとしています。総量規制とは年収の三分の一を超える買い物や融資を受けられなくなると言う法律です。これは不興の煽りを受けて多重債務者が続出したのを機に金融庁によって施行されたものですが、実際のところ、これから借金をしたいと言う人や計画的な返済を行ってきた人にとってはあまり嬉しくない結果になると言うデメリットもあるようです。

総量規制によってまず問題視されたのが収入のない専業主婦や年金生活者・無職の人です。この方々は借りられる金額が総量規制によっていきなりゼロにされてしまいました。この結果、債務整理に駆け込むと言う流れが極端に増えたのが実情です。しかしこれと同時にあまり表立ってはいないものの、もう1つ総量規制によって増えた債務整理の案件があります。それは中小企業です。

私はこの分野の専門家ではありませんが、一般的に起業をしてから倒産する確率は最初の5年で8~9割程度と言われているようです。別の意見では最初の三年間の間に70%が倒産。またそこで生き残った企業のさらに70%が次の三年間に倒産するとも言われています。いずれにせよ、企業後六年間の間に生き残る確率は10%未満と言うことが通説の様子。

このような企業のほとんどが中小企業となります。一概に中小企業と申しましても、経済産業省の調べによれば、国内の企業のうち99.7%が中小企業の範疇に入ります。この中でも資金繰りが悪化し、かつ銀行からの融資を弾かれるのは、起業直後の体力のない時期や、成長曲線で言うところの成熟期から衰退期に入った時期になるようです。このような中小企業の多くは例え自転車操業であっても、何とか会社を延命させようと商工ローンサラリーローンに手を出します。

ここで問題になるのが件の総量規制です。これまでは債務超過に陥らないぎりぎりの範囲でサラ金から借金をしていた企業が総量規制の煽りを受けて唐突に融資を断られると言う事態に陥りました。しかしながらこのような状況に陥った際、ほとんどすべての経営者様方は債務整理を考えたりはしないようです。彼らにしてみれば、これまでの間、倒産寸前の瀬戸際ながらも何とか会社を存続させていたにも関わらず、唐突な法改正によって借金ができず、我が子も同然の企業を倒産させねばならないなどとんでもない話だと言ったところなのでしょう。その結果、彼らはまず大手のサラ金に手を出し、次いでいわゆる街金・闇金へと手を出し始めるのが実情のようなのです。

しかし暴力団の後ろ盾をにおわせるような街金・闇金に関わってしまうと、債務整理業者の中でもきちんと対応できるところは限られてきます。また対応してくれる場合でも闇金の名前を出した途端に着手料が跳ね上がったりするところも存在するようです。しかし、経営者の側からしてみると、闇金に追いかけられ、プライベートで脅迫を受けたり、会社を乗っ取られたりする寸前の状況では、例えそのような債務整理業者にふっかけられてもなりふり構っていられないと言った心地に陥り、結局は法外な値段で債務整理を依頼してしまう。さもなくば会社を手放した上に自己破産するかの二者択一を迫られると言った事態も珍しくはないようなのです。

もちろん当所ではこのような緊急事態も含めて一律に対応させていただいておりますが、闇金に手を出して上述のような状況に陥る前に債務整理を行う方がずっと得策だと言えるでしょう。ことに今月一ヶ月を乗り切ったところで闇金の利子以上に突然に市場の景気が良くなることなどは滅多にありません。仮に債務整理を行わないにしても、当所をはじめ、無料にて相談を受け付けるところは山ほどあります。ですので、資金繰りが極端に悪化したと感じたら、まずは専門家を相手に相談をしましょう。例えば任意整理には、イコール倒産と言ったネガティブなイメージがついているようですが、実態は必ずしもそうとは限りません。お客さまがしっかりとした事業を行い、クライアントの皆様から欲されるサービスが存在する限り、法的な再生スキームによって企業が復活した例などは枚挙にいとまがないのです。

総量規制により、中小零細企業の方は苦しい時期に瀕したかと存じます。しかし大切なことは目先のお金をどうやりくりするかではありません。社会のために貢献できるよう、きちんとした仕事をする。これがお客さまの会社を長生きさせる秘訣なのです。